はじめは、素直に自分から演ろうと言いだすことが少し怖かったのです。
その内股な自分を支えていたのはカッコウつけの自分で、それに気づいた途端失笑..."それ"は去ってゆきました。
ルナ、ヨシツグとひっさしぶりに三人で会って話せた時はほんと嬉しかった。
もし気持ちが一致しなくても、この時間は意味があると感じていたんだ。
ツアー前は、僕からは発することはできないと留めていた言葉が、各地を巡る中で歌に溶けてゆきました。
まるで結成から僕が一度バンドを去るまでの数年間を、一年と数か月に凝縮したような濃い日々でした。
時は待ってはくれないからこそ、一瞬に込める想いも深くなってゆきます。
僕はアインスフィアのボーカルとして、胸を張り歌っていました。
"愛してるぞーっ!!”と何度も叫んだのはライヴを盛り上げるためではなく、叫ばずにはいられなかったからです。
こんな感情ははじめてのことでした。
これまで愛してくれた人たちすべてに。
いま愛してくれている人たちすべてに。
スタッフに。
仲間に。
別の場所でリズムを刻むアツヒトに。
ステージを共にするメンバー、ルナ、ヨシツグ、オカチンに。
そして真にバンドであったEins:Vierに。
きみ!、きみ!、きみ!...ひとりひとりに。
すべてをやり切り、一度カラッポになった日がありました。
でもこれは潤いのある清々しい時間でした。
根底には喜びがあります。
これが僕に歌うことを導いてくれるのです。
みんな、心からありがとう。